【書籍】言語が違えば世界も違って見えるわけ
『言語が違えば世界が違って見える訳』は、言語と認知の関係について考察する興味深い本です。

本書は、言語が自然や文化を反映しているのか、母語が思考に影響を与えるのかという問いに答えを探ります。
例えば、ホメロスの「葡萄酒色の海」という色彩感覚や、言語によって異なる色名の使用など、言語学の歴史や研究成果を通じて、西洋の常識が覆されていく様子が描かれています。
一部では、言語の色彩関係や文法の違いによって、思考や知覚がどのように制約されるのかについて考察されています。
例えば、オーストラリアの先住言語で前後左右の語彙がなく、東西南北を使用して位置関係を表現するなど、言語の制約がコミュニケーションにどのような影響を与えるのかを示しています。
また、言語相対論(サピア・ウォーフ仮説)についても触れられており、言語の違いが思考にどの程度影響を与えるのかについて議論されています。
一部では、言葉が伝える情報の制約に従っているだけであり、言語によって絶対的な思考の違いが生じるわけではないという立場も紹介されています。
この本は、色彩感覚や言語の制約に関する実験や研究の紹介を通じて、言語学の歴史や言語の力について考えさせられます。
また、言語学の偏見や過ちに対する批判的な視点も示されており、言語学の入門書としてだけでなく、言語学の限界や個々の言語の特徴についての理解を深める一冊と言えます。
この本を通じて、言語の多様性や制約が思考や認識に与える影響を考えることで、言語の重要性や学習の意義を再評価するきっかけとなりました。
母語や異なる言語の単語や表現を学ぶことの意義を改めて感じると同時に、言語学の過ちを反省する必要性も示唆されました。
母国語が日本語の私たちですが、繊細なニュアンスを表現する言葉って、他の英語などの言語の表現とは違っていて、日本の文化をこれも言語が表していることの一つだと思っています。
言語学というのは初めて見聞きしましたが、こういった新しい分野の知識も教養が深まるきっかけとなりますね。